トンネルの入り口。

長いトンネルを入ったところにいると思う。振り返るとまだ光が差しているが、そこに戻る事は出来ない。先は暗くなる一方で、出口は見えない。休む場所を探そうにも、暗くてわからない。とにかく光が見えるまで、歩き続ける必要がある。*1 それは死の行進になるかもしれない。どのように進もうか。ちょっと思案中である。少なくともここのように正義の味方を演じなければならないほど、酷くは無い。単純に見積もりが甘く、量が過剰になっただけである。それでも前に進まないと何も始まらない。

昔、安藤忠雄が新聞か何かに、遅くなった仕事の帰り道、終電を過ごして、わざと徹夜で歩いてかえることを勧めていた文章を思い出した。特に若い人にだったと思う。彼の設計事務所にアルバイトに来ていた学生が、それを実践し、大阪から京都まで線路に沿って、一人夜通し歩いたそうだが、その学生は、普段考えないような、人生の目的とか、自分はいったい何者なのかと、その間だけ、思索にふける哲学者となれたらしい。そうした普段考えないような事を考える時間は非常に貴重だったと、安藤忠雄に語ったようで、それを聞いて安藤も非常に嬉しかったと書いてあったと思う。

とりあえず、そんな風に歩いてみようか。どんな状況に陥っても前を見て、現実と向き合って、考えることは、必ず何がしかの力になると思う。

血が通う、この身を想う、彼岸花

孝葦子

*1:今日も、明日も、しばらく休み無く仕事である。