何もかけない。

そらを見上げると、赤と空の色の対比が印象的である。葉っぱの色は、その薄さゆえか少し透明度のある赤やオレンジで、日の光に瞬間輝くときがある。

買い物に行く途中、住宅街を通るとマンション建設予定地に群れるススキが風にたなびく。これから建設が進むに連れて、何が引き抜かれ、何が残り、何が植わって行くのだろうか。

遊歩道を歩いていると、時々、袋に落ち葉を拾って集めている人を見かける。集めて何にするのかふと疑問に思うと同時に、すごく懐かしい気持ちになる。

子供達はただきれいだから集めているようだ。大抵は、おじいさんやおばあさんに連れられて散歩がてらに集めていたと思う。小さい頃、子供だけで時には一人で近くの雑木林に冒険と称して遊びに行ったが、そうした思い出を作るのも段々難しくなってくるのだろうか。ラジオから流れるニュースを聞きながら不意にそう思った。少しものがなしい。

前屈み 落ち葉拾う手 小さな手
考葦子