夏至の翌日、午後7時15分

夕暮れがない代わりに、昼間の日光が残りが淡く空を明るく照らす、そんなやわらかい雰囲気が好きです。一年でもこの短い時期にしか撮れない空の薄い青。
先週末、夏至の翌日、京都に所要があって出かけた。帰り際、午後7時を廻っていたけどまだ明るい風景に少し寄り道をしてみることにしてみた。

京都は表通りを外れて、裏通りに入れば、味のある顔を見せてくれる。さりげなくレトロと今が混じった、ゆったりとした雰囲気、写真を久しぶりに撮ってみようと思ったのは、途中で見つけた少し懐古調の銭湯ののれん、少しくすんだ青に、味のある蝸牛。決して名のある芸術作品ではないが、眼に涼しさを感じさせてくれた佳品だと思った。

「なぜ」と少し考えてみた。空を見上げてみた、夏至の翌日、午後7時15分、夕暮れにも染まらず、かすれて行くように空の青は薄くなり、そして灰色から黒へと帳を閉めるように色を変えようとしている時間帯。昼間の日光の残りだけで明るい空には、もはや熱も無く、やさしく町の風景に色をつけてくれている。考えてみれば、年にわずかな時期のわずかな時間帯しか見れないやさしい光。

少し疲れていたが、久々に時間をとって、京の町を歩いてみた。


「まだ昼か」、残業に入る、夏至の夕
考葦子