読む(その2)

疲れていても、眠れないときがある。先が見えないと、特にそう思う。

先ほど、NHK の人間ドキュメントで J リーグ、川崎フロンターレ中村憲剛を紹介する放送があった。「へー、地味ながら渋い選択だな」と思ってずっと観ていた。中村選手が、移動中、文庫本を読んでいるところへインタビューが入って、読書について聞かれたときに、大学を卒業してから、勉強する機会が減ったけど、自分は活字から離れるのは嫌だな、という趣旨の回答をしていた。非常に印象に残った。
確か、彼が入団に際して、スタッフは彼の読書量の多さに注目していたそうだ。読書を通じて養われた、視野の広さや、先読みの深さを高く評価していたとも紹介していた。そう、体格面での不利を十分に補う考える力、クレバーさに期待していたそうだし、実際に2年前からボランチにポジションをコンバートされてから、その考える力をフルに生かして、飛躍へのきっかけをつかんだそうな。

いまだに、仕事のほうはトンネルから抜けきれずにいる。さすがに関係者全員、疲労困憊で、もう徹夜も出来ない。そんな生活がここしばらく続いているが、考えてみれば、活字から離れつつあったかもしれない。状況を読み、先手を打つには経験以上の知識が必要になる。読みたい本、注目していた本も沢山あったことを思い出した。

12月の冒頭に、余りの先の見えなさに、占段を立ててみたら、「掛け値なしに打つ手なし」との結果を得た。積極的に状況を打開しようとすれば、必ず空回りするか、逆効果になるということだ。・・・・

占段は個人の思い込みを排して、謙虚に状況を読む為の一種の儀式である。自分の意図に反する結果であるからこそ、尊重しなければ、占段を立てる意味が無い。そこは意志の強さを要求される。

現状、自分の意見はいったん抑えて、様子を見るしかない。・・・流されるように毎日を過ごすようになった。ただこれで良いのかという気もしていたが、今日の人間ドキュメントを観ていて、何か今の自分に欠けているものを見つけたような気がした。確かに活字は失いかけていた物のひとつだ。チャンスを待つだけしかないのなら、読書は大切な準備事項だ。

そう言えば机の端にいくつか積んであった本があった。その中のひとつ、Michael Jackson の「Problem Frame」は、じっくり勉強しようと思って、原著を第3章まで読み進めていたが、中途で挫折していた本だ。気がつけば、いつの間にか翔泳社から翻訳が出ていた。なんか少し悔しい気もしたが、そちらも結局、購入してしまった。しかし、なんで原著のほうが約 1.5 倍近くするのだろうか。ただこの手の知識は、お金では代え難い価値を持つし、とりあえず日本語訳を読破してから、原著の続きを読むとしようか。