助けを乞う

今日の帰りの電車の中で読んていた雑誌にこんな事が書いてあった。

最近の若者は 「help seeking behavier」が苦手だと島先生は言う。「help seeking behavier」とは、何か問題が起こった時、友人や家族などに。打ち明け、助けを求めることだ。「他人に悩みを相談する事をよしとしない人がとても多いように感じます。他愛のないことを話せる友達はいるけど、悩みを打ち明けたり、人生を語るような友達は居ない。そういう話をすると相手に嫌われるとオ思うのか、暗いムードになるのが苦手なのか、よくわかりませんが、要はコミュニケーションスキルの問題だと思います。」・・・<略>・・・苦しい状況にある時「助けて」と言うサインを出すのは、容易な事ではないが、時には弱い自分をさらしてでも、自らをガードすることが必要かもしれない。

THE BIG ISSUE JAPAN 29 号 「助けを乞うことできますか」より引用。

印象に残った。

今日の工程会議でも、私の態度に周りは業を煮やしていたように思える。開発の遅れを取り戻す上で何をすべきかの検討に、私は自分のできることの範囲でしか答えを出そうとしない傾向にあるせいか、「結局全体を考えたらどうやねん」と言われる始末である。
ただ私も私なりの考えがあって、あえてそうしている部分もある。ただそれが正しいことかどうかは分からない。今は無理をしたくないだけなのかもしれない。理解を求めるには時間が掛かる。助力を乞うにも、どう乞えば良いのか分からない部分も多い。素直にとも行かない。さてどうしたものかと考えてしまう。

「助けを乞う」に似た言葉は「天は自らを助けるものを助ける」と言う言葉がある、ただ、後者が自助努力を促し前向きな姿勢を強調するの対し、前者は記事の中にもあるように、弱さをさらけ出すような所がある。いわいる他力本願的な要素も含まれる。そう言った意味合いに、どこか恥ずかしさを感じてしまうのだろうか。確かに「弱さをさらけ出す」と言っても、プライドに引っかかる部分が邪魔をしているとも言える。がその辺は本質でないようにも思える。

雑誌の文中に「要はコミュニケーション・スキルの問題だと思いますよ」とあるが、「コミュニケーション・スキル」とは一体何なのだろうか。相手に自分を意図している事を伝え、自分の望む状況に持っていく技術の事であろう。詳しい定義はわからないが、正直、違和感を覚えた。

要は助けを乞う場合一番大切なことは信頼できる相手に乞うと言う事だと思う。相手を選ばないと助けは乞えない。乞われる側にもそれなりの労力が必要である。占星術で人の相談に乗ったり、最近なら母親の不条理な悩み事をじっと聞いていたりするとよく分かる。何もせずに話を聞くだけでもかなりのエネルギーが必要であるし、相手の不完全さをある意味包容するような所が要求される。そうした相手を見つけるための智慧が本当は必要だと思う。

それは友達でなくでも良いと思う。一言で言えば、尊敬できる人と言う事か。ただ少ない気もする。私自身、友達は少ない方だが、尊敬ができ相談に載ってもらえる人は何人か居る。それに尊敬できる部分があるなら、欠点が見えてもその人の個性として許容するぐらいの心の余裕も実は必要である。

記事は「ヤングライフ・クライシス」と言う記事の一つとしてかかれていた。若者の今とその傾向に焦点を当てているが、それだけで終わっても良いのかと言う印象もある。その上の世代が今の若者に対して、個人的な面から、社会制度の面からでも、どう接してきたのかそう言った観点が必要なように感じる。多分に世代間、縦のつながりの観点を持たないと納得の行く方向性は見えないような気がするのだが。「若者」という固定した見方に集中してしまうのは、少し物足りないものを覚えた。


結局、今の仕事の工程会議において、成り行き任せ、受身な姿勢を決めたのも、そう言ったことが原因なのかもしれない。信頼関係で話が出来ないのなら、駆け引きで落としどころに持っていくために演技をする必要がある。完全にそうだとは言えないが、今の生活に余裕のないせいか。相手を理解しようと言う意欲に欠けているのかもしれない。自分の意見はあえて言わず、あくまで仕事のライン上での明確な指示を引き出し、それに従って動く。もとより人手不足であり、ソフト開発で言えば、SE ではなく実装担当者に近い仕事の比重が高いせいだろうか。少し卑怯かもしれない。けれど本来、実装を進める上での困難*1に対して思考を集中させる事が一番大切だと思うからなのか。

言い訳かもしれない。だけど必要以上に自分を責めたり、潔癖になるのは止めた方が良いだろう。多分に「助けを乞うには」、自分自身の不完全さを見据えて、許容するだけの余裕も必要だと思う。 それをスキルと呼ぶかどうか分からない。ただ、心のあり方はスキルな部分もある。・・・・結局考え込んでしまう。

*1:Matlab + Simulink でブロック線図によるモデル駆動型で開発中。時々 1-0 = NAN とか出て来るとかなり凹む。ブラックボックスを相手に仕事をするとこうしたリスキーな要因に悩まされる事になる。