同じ立場

それにしても、露出が少ないバンド ----- 特に地上波TVや一般誌の出演などは皆無に近いのだ。------ がなぜ、今回この雑誌に登場したのか?最後に藤原基央に聞いてみた。
「登場しようと思った理由ですか?・・・・・・いい気分だったからです。すげぇいい気分。・・・・・・・この雑誌の存在そのものが歌じゃないっすか。掲げている理念はもちろん、売る人も買う人も、全部一つの歌だなって思う。で、ずっと僕らもそういうことを歌っている気がする。・・・・・『ビッグイッシュー』っていうと、ホームレスというイメージが浮かぶと思うんだけど・・・・・・同じことやってるんだよね、バンプ・オブ・チキンとホームレスの人たちは。バンプ・オブ・チキンもホームレスなんですよ-----いや、寝る家はありますよ、そういうことじゃないっすよ。でも僕らも街頭に立って声を張り上げて生活費を稼いでいるあの人たちと一緒ですよ。『生きようとしてる』人たちなんですよ。だから本当に、僕らが歌うことホームレスの人たちがこの雑誌を持って駅前で声を張り上げるのは、同じ行為だと思ってるんです。」

The BIG ISSUE JAPAN 41 号 back beat Music「Bump Of Chicken」より。

なんかこういう感覚は好きだ。Bump らしくていい。
この「Big Issue」の日本版は一時期、経営難に陥り今でも悪戦苦闘しているはずだ。そうした現状に対してとある新聞記事で、本家イギリスでは「ザ・ストーン・ローゼス」が5年ぶりに復帰するにあたり、この雑誌に登場した事が、呼び水になり雑誌の知名度を挙げ、登場するミュージシャンも多くなったと書いていた。ただ表紙とトップのインタビュー記事に日本人はあまり登場していなかった。だから本家の事例を参考にして、考えるべきではないかと。*1

確かに、時々いかにもハリウッド・セレブのような知名度だけで載ってしまったような外人も居るには居た。なんだかな・・・と思うことも多かった。要は全然親近感が沸かないのである。
「そりゃセレブにはセレブの苦労があんだろうけどさ」って感じだろうか。
「成功して金が余っているから社会貢献していますって」端的に言えばそんなふうに感じる事もあるかな・・・・
うーん確かに偉いとは思うけどね。・・・・
やっぱ全然、親近感沸かん。
そうしたセレブのトップインタビュー記事を読み返した覚えはほとんど無い。「ビョーク」ぐらいだろうか。印象深くて、面白かったのは。

Bump の歌は昔から好きだったけど。最近は少し離れていたかな。だけど時々聞く。そう、インタビューの中で「『生きるってどういうことなんだろう』ってことはすごく考えている。」って藤君が答えていたが、こういう台詞を憶測も無くさらって言ってのける辺りの感性が好きだ。不器用だと思う。それでも何か人生の意味みたいな物に真正面からぶつかって行こうとする部分はいいと思う。

大人になって、社会に出て、お金を稼ぐようになって、世の中の仕組みが分かるようになって、安定を求め始めて、そんな日常を繰り返して行くと少しずつ失ってしまうその感覚。・・・時々、コアなしのフレックスに慣れ切って、みんなが仕事をしている頃に悠々と出勤している自分に、自己制御が出来ていないのかなって・・漠然と自信を失ってしまう時とかあるけど。そんな時、自分の立ち位置を見直そうとすると、物凄く不安に陥る事がある。「なんでだれてしまうのかなって。・・・・」「このままこのペースでダラダラやっていて、何の意味があるのか。・・・」「この先どうなるんだろう。」「所帯をもっている人は養うべき家族が居るから、そんな事考えていたらやってらんねーだろうな。」とか。

そうした不安から今の環境を見直そうと、転職サイトに登録してみてみる。そうすると自己PRを書くようになっているのだが、なんか丁寧親切にナビゲーションがあって、こちらの素性ややる気を根掘り葉掘り聞いてくる。なんかまだ漠然とした状況で登録したんですけど、そんなありもしない具体的なビジョンを求められて、少し困惑する。結局登録はしたものの、そのまま自己PRは無いままだ。傍から見ればやる気がない、消極的だと思われるかな。・・・

結局、行き着く先は「『生きるってどういうことなんだろう』」だろうと思う。しかしこんな話、会社で誰に話したら良いんだろうか。一言話して、説教を十されるのはかなりきついし。・・・・そうやって時々、Bump の曲をかけながら、一人で夜中、考え事をする時がある。*2

アーティストの社会貢献では例えば AP Bank なんかが有名だ。偉いと思うし、世代も近いかもしれない。しかし態度して、そこまで成熟していない自分には、Bump のような態度で Big Issue に賛同する姿勢の方が非常に親近感が沸くのである。私も根っこの部分ではホームレスと同じで、「生きようとしている」一人なのだと思う。


カルマ / supernova

カルマ / supernova

*1:日本経済新聞、2005年6月8日 夕刊(関西版)13ページ ウェーブ関西、先望鏡より

*2:翌朝は結局遅くなり、またフレックスを利用する結果になるのだが。・・・