受賞を祝す。

昨年公開されたアニメ版の「時をかける少女」が日本アカデミー賞の最優秀アニメーション作品賞を受賞した。

その他、数多くの賞を得ているが、それらを含めて素直に祝したい。ここ5年の間で、唯一映画館で見た映画だった。アニメだとか関係なく、良い作品だったと思う。大阪ではミニシアターのテアトル梅田でしか上映されておらず、知名度低かったかもしれないが、珍しく3回も見に行ってしまった。

そう、感動を消費するための商品としての映画ではなく、大切な何か伝えるための入魂の一作だったと思う。最初に見たのは、何となくテアトル梅田のポスターを見て、ちょうど時間があったからであった。何の先入観も予備知識も無かったが、見終わった後に強烈なカタルシスを覚えたの今でもよく覚えている。映画の終わり、奥華子の主題歌に乗って、回想シーンと共に映し出されているスタッフロールを、ほとんどの観客が誰も立たずにじっと静かに見つめていたが、非常に印象的だった。

繊細な心も、永遠の別れも、不確実な未来に対する不安感も、全てを包んで昇華するようなその物語は、内向きに気持ちを閉ざしがちな、私に何か大切で忘れ変えていた気持ちを呼び覚ましてくれたような気がする。

なにわともあれ、関係者、スタッフ一同の皆様、おめでとうございます。良い作品を本当にありがとうございました。

カエラ君

実は、木村カエラのファンである。会社で「芸能人で誰が好き」と聞かれたら、即答でそう答えていた。但し、そう熱心なファンではない。アルバムは買うけど、シングルも買わないし、テレビはあまり見ないので、CM のタイアップ曲もまだ聴いたことがない。忙しいからライブにも行かない。ただ異性として魅力的というよりも、この子の持っている雰囲気に自分と同じ匂いを感じるからである。最初にカエラ君を知ったのは NHKトップランナーだったが、最初に見たときから、先入観かもしれないが、なぜかそう感じていた。年齢も性別も職業も違うが、なにか同類項のように思える。彼女の詞を聴いていると、案外と思索的、内省的なものもある。感性だけであの詞を書いているなら、案外と彼女は哲学者の素養があると思う。

今日の Kaela★Blog のエントリーはそういう意味でそういった彼女の一面を垣間見たような感じ、いいエントリーだったと思う。ただ気になったのだが、「オーラの泉」を見て、「大我」と「小我」ということを放送の中で説明していたらしいが、個人的には、疑問に思う。

続きを読む

東京

東京に行くと至るところに地下鉄や JR や私鉄が所狭しと線路を連ねているように感じる。大都会だ。
ただ離島ではないが東京の武蔵村山市には線路が無いらしい。正直少し驚いた。*1

大阪だと河南町と千早赤坂村には線路は無いが、市には全部通っている。

やはり関東平野は大阪の平野部に比べると裾野が広いと思う。住まないと分からないものだ。

*1:ただ、23区の住民から見れば、八王子等の西東京は風土的に東京ではなく山梨だと言う意見も聞いたことがある。

「ひとり 団地の一室で」

昨日、何気なく見始めた NHK 特集「ひとり 団地の一室で」 は非常に印象に残る映像だった。いくつかの賞をとっているようだが、納得がいくいい作品だった。老いと孤独に向き合って、結局敗れるように古くなった団地の一室で、孤独に亡くなっていく人たちの現状と、それを食い止めようと立ち上がった古くから住民達の活動記録だ。今、母親と二人で暮らしているが、放送を見ながら、少し自分の20年後、30年後と重ねて見ていたのかもしれない。かなり食い入るように見ていたと思う。

続きを読む

パン屋のおじさん、最後の配達。

母親に付き合って、紅白歌合戦を見ていたが、司会が平和へのメッセージを読み上げて、布施明が「イマジン」を歌いだしたあたりから、なぜか居たたまれなくなり、そのまま部屋に入ってしまった。昨日、同じ NHK の ETV 特集で、「2006年夏 戦場からの報告 〜レバノン・パレスチナ〜」という放送をやっていた。何げなく見始めたが、非常に心が痛んだと同時に、それが直視しなければいけない現実だと思った。想像で何がわかるというのだろうか。漠然としたユートピアを想像してそれを共有したところで、結局はどこにも至らないだろうと、少しやるせない気分になった。

続きを読む

読む(その2)

疲れていても、眠れないときがある。先が見えないと、特にそう思う。

先ほど、NHK の人間ドキュメントで J リーグ、川崎フロンターレ中村憲剛を紹介する放送があった。「へー、地味ながら渋い選択だな」と思ってずっと観ていた。中村選手が、移動中、文庫本を読んでいるところへインタビューが入って、読書について聞かれたときに、大学を卒業してから、勉強する機会が減ったけど、自分は活字から離れるのは嫌だな、という趣旨の回答をしていた。非常に印象に残った。

続きを読む